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2008年6月14日 (土)

水曜日の夜に無事帰国しました。

木曜日は新工場の大まかな図面ができてきましたのでそれをもとに現場で打ち合わせ。

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外部。現状は洋風ですが、丸山珈琲風に換えます。

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内部はかなり広いので、工場だけでなく、コーヒーを飲めるスペース、豆の販売もいたします。

9月には工場稼動開始、カフェも10月にはオープンしたいです。

そして木曜日の晩は、グアテマラのカップ・オブ・エクセレンス・オークション。凄まじいバトルの結果、アメリカ、オレゴン、ポートランドのスタンプタウン、カリフォルニアのスイート・マリアズ、そして珈琲の味方塾で1位のエル・インフェルトを落札できました。価格はカップ・オブ・エクセレンス史上最高価格のポンド80ドル20セント。ポンドは約453gですから、今の1ドル108円で計算すれば、キロ\19,120となります。

コーヒーの国際オークションはいくつかありますが、史上最高価格はパナマのエスメラルダ農園のプライベートオークションでの、ポンド105ドル25セント(同じ計算でキロ\25,092)だと思います。これを落札したのが、やはり今回味方塾と一緒に落札したスタンプタウンとスイート・マリアズ。味方塾はエスメラルダは今のところ買っていません。将来は・・・と聞かれると・・・分かりません。素晴らしいコーヒーであることは間違いありません。

話が脱線しますが、ベスト・オブ・パナマという品評会で初めてエスメラルダ農園のゲイシャという品種のコーヒーがデビュー(?)した時にその現場で審査員をしていましたし、その後2年、エスメラルダ農園のゲイシャのぶっちぎり優勝を審査する現場にいました。風味は、よく言われるのが柑橘系の酸、レモンピールの香り、フローラル。私個人としてはスミレの香りを感じます。質感、奥行きも素晴らしい。これにアメリカのロースターたちが、目がハートマークになっています。価格も高騰しました。それをみてパナマならず他の生産国でもゲイシャ種の木を植え始めました。木を植えてから収穫が始まるまで数年かかりますので、そろそろそのころに植えられたゲイシャが出回り始めるでしょう。

ゲイシャは特定のマイクロクライメイト(微小気候)、標高で栽培されると、素晴らしい個性を発揮します。エスメエラルダ農園以外のゲイシャもパナマ、コスタリカなどでカッピングしましたが、なかなかエスメラルダ以上のものには出会えません。

話はグアテマラのオークションに戻ります。価格がキロ2万円弱ということを書きましたが、これでやっと本マグロ並みの価格になったな、と個人的に思いました。また、馬鹿なことを書いていると思われるかもしれませんが、心からそう思います。(もちろん本マグロは高いものはもっと高いですけど。)

2002年にその当時のオークション世界最高価格でブラジル・アグア・リンパを落札したとき、価格はポンド12ドル85セント、総額は4万4千ドルでした。その当時のレートは忘れましたが、115円で計算すると総額500万円強です。丸山珈琲の常連のお客様がそのことをお知り合いのお鮨の名店の親方に話したところ、「世界最高価格と言っても、意外と安いんですね」との感想をもらされたそうなんです。

お金の話をくどくど書いていて申し訳ありません。先日のホンジュラスの生産者の話ともつながってきますので、もう少しお付き合いください。

ワイン、紅茶、中国茶、マグロでも最高価格のものは・・・・皆さんご存知ですよね。本当に高価です。それらに比べてコーヒーの価格の分布は狭いのです。何もすべてのコーヒーだ高くなければいけないと言っているわけではありません。ただ、最高価格がどこにあるかで、その商品の価格の分布が大きく変わってくるのです。100万円のワインがあるから、10万円のワインもあるし、3万円のワインもあるし、800円のワインもある。それぞれに価値を感じるお客様がそのときそのときで選択しワインというものが楽しまれている。

コーヒーはそこがまだまだ圧縮されていると思います。オークションシステムを批判する向きもまだまだありますが、むしろコーヒーはもっともっとそちらの地平を切り開いていく必要がある商品だと私は思います。

グアテマラのコーヒー、1位、確かに素晴らしれないけど、ポンド80ドルの価値はあるの? ということもあるでしょうが、これは私たちだけで80ドルをつけたわけではありません。相手がいました。60ドル以上で少なくとも3つのビッダーが値を入れてきました。つまりこの3者にとってはその価値があるということなのです。

グアテマラのコーヒーが80ドルという価格をつけることができるのだ、という事実がマーケットのマインドセットを変えます。「ありえる」ことになるのです。コーヒーの値付け(この場合は原料ですけど)の概念、価値観が変わってくるのです。

でなければいつまでも生産者の手取りが変わりません。下手をすれば生産者コストより手取りが少ないということが平気で起きます。努力してコストをかければかけるほど損をするのであれば、努力をする気は起きません。他の作物、場所によってはコカを栽培したほうが非合法だけどもうかります。素晴らしいコーヒー豆を継続して栽培、生産していただくためにはコーヒーという商品が得ることのできる価格の可能性をもっともっと上に持っていく必要があります。

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