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2009年5月21日 (木)

ニカラグアの品評会も2日目が終了しました。

今回のニカラグア品評会はカップ・オブ・エクセレンス(以下COE)が始まってから10年目、しかも通算50回目になる「記念大会」です。そのため懐かしい面々が一堂に会しています。

実は私にとってもとても感慨深い品評会なんです。

というのも私が初めて参加したCOE品評会が2002年のニカラグアCOEだったからです。あの時は正直何が何だかわからないまま終わってしまった一週間でした。

とにかく分からない。全部同じ味に感じる。一生懸命味を取ろうとすればするほどわからなくなりました。そりゃあ、そうです、熱いうちから一生懸命味をとろうとしているんだから。

少しずつぬるくなってくると味が変わってくる・・・というか色々なフレーバーや味の要素がはっきりとしてくるのですが、熱いうちにある程度味をとっているつもりになっているので、「あれっ? さっきから味が変わってるよ!」と慌てる。慌てれば慌てるほど味なんかとれない。でも周りのカッパーたちは平然とカッピングしています。

10のサンプルを1時間かけてカッピングするのですが、もう何だか頭はゴチャゴチャ。別の部屋に移ってそれぞれの評価を議論しますが、ここでも真っ青。欧米のカッパーたちは本当に自由闊達に自分の意見を表明していきます。私は日本人的考えが出てきて、みんなとあまりに評価が違って恥をかきやしないか?とビビりまくります。

「この1番のサンプル、90点以上に評価した人、手をあげて」、「87点から89点をつけた人は?・・・・79点以下の人は?」と5段階位にわけて挙手していきます。

みんなと違うところで一人だけ手を挙げるのが怖くなります。だから自分の点数は自然と83点から87点の間くらいに集中します。そうすれば目立たないからです。いいコーヒーだな、と思っても87点。悪いコーヒーだな、と思っても83点。これが一番だめな審査員の典型的な点のつけ方。

さすがに3日目にもなると「これじゃいかん!」と思い始めます。

そこで誰かの真似をしようとするんですよね、人間は! 弱いから。

審査員の中に一人、けっこう有名なカッパーがいて、その方がけっこう欠点を指摘する方で、やれセロリの味だ、玉ねぎのような味だ、金属のような味だ、とばっさり言いきっていたんです。

おお!これだ。となぜか真似をした自分。

一つだけ他のものとかなり香りの違うサンプルがありました。何かトマトのような、それも青いトマトのような香り。子供のころ、父が毎朝トマトジュースを飲むので母がジューサーで作っていました。その香りを彷彿とさせました。

これは悪いコーヒーだ。今度こそ思い切って点数を下げよう! そう思って勇気を振り絞って80点をつけました。(それでも80点! 意気地無しだ。)

気持ちよく望んだ議論の時間、いよいよそのコーヒーの話になりました。

審査委員長のジョージ・ハウエルが言います。「90点以上をつけた人!」

7割の審査委員が一斉に手を挙げました。残りの3割も87点から89点のところで手を挙げます。84点から86点は0人。80点から83点のところで私一人が手を挙げました。つまり評価できなかったのは私ただ一人。

顔から火が出るほど恥ずかしい思いです。

みんなが口々に争うように話します。

「すごいコーヒーだ!」「ニカラグアにこんな素晴らしいコーヒーがあるのか!」「とにかくフレーバーが素晴らしい。ジャスミンのような香りだ。」「素晴らしいフレーバーがいつまでも余韻を残してとどまっている」などなど絶賛の嵐。

とにかく情けない。本当にショックでした。

学んだこと。  中途半端に人の真似はするな。コーヒーの評価には自分のすべてをかけろ。

そして・・・自分がトマトの香りだと思ったのは"Floral" 花の香りだったということ。ジャスミンの香りだったこと。スペシャルティコーヒーの中では評価するのだということ。後でわかったのですが、この香りは紅茶のダージリン、それも最高級のものでも感じる香りだということ。

これが、私がカッパーとして本当に腹を据えてやっていくぞ、という決意を固めさせてくれた原点です。

このときの恥ずかしさを思えば何も怖いことはありません。恥をかかなければ学ぶことはできません。今でも、カッピングをしてそのスコアを出すということに私は自分をかけています。つまり恥をかく準備ができています。逃げるつもりはありません。

ニカラグアに来るといつもこの体験を思い出します。本当に思い出深い品評会なんです。

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